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内藤尚志 2025年1月11日 3:39 JST
米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で7日に発生し、強風で燃え広がり甚大な被害をもたらした山火事は10日に入り、消火活動によって鎮火が進み始めた。こうした中、当局者は被害が拡大した原因を巡り責任のなすり合いを繰り広げた。
ロサンゼルス市消防局のクローリー局長は地元メディアとのインタビューで、市のトップが同局の予算を削ったため消火活動に支障が出たと非難した。これに対し、バス市長は消防局予算を1700万ドル(約26億8000万円)強削減したことについて、予算が厳しい中で決定したもので、火事への対応への影響はなかったと釈明した。
カリフォルニア州のニューサム知事はロサンゼルス市水道電力局に書簡を送付し、消火栓の水が繰り返し不足した原因を調査するよう求めた。知事は、同州の防火対策を批判しているトランプ次期大統領にも、ロサンゼルスを訪れるよう要請する書簡を送った。
ロサンゼルス郡検視局の10日午後の発表によると、これまでに死者11人を確認した。当局者によると、今後さらに増加する可能性がある。
現地の強風は10日には弱まる見通しで、消火活動がさらに進む可能性がある。
米気象予測センターのアリソン・サントレリ予報官によると、気象パターンの変化に伴い風はいったん弱まる見通しだが、13日には再び強風になり、降雨の兆候はない。サントレリ氏は「ロサンゼルスの盆地全域で風が弱まり、これ以上の山火事の拡大は抑えられる。ただ、来週の初めには再び状況が悪化する可能性がある」としている。
カリフォルニア州林野火災防止局によると、複数発生している山火事のうち、最大規模の沿岸部パシフィック・パリセーズ火災の10日時点の鎮火率は約8%、ロサンゼルス中心地北部のイートン火災は約3%にとどまる。
被害拡大
米国第2の都市ロサンゼルスでは、火災の被害規模が明らかになりつつある。消防当局によると、住宅や商業施設など少なくとも1万棟が被害を受け、焼失面積は約1.2万ヘクタールに及ぶ。
ロサンゼルス周辺の広範囲を焼き尽くしている今回の山火事は、米国で起きた自然災害の中で、最も高額なものになる可能性がある。
カリフォルニア州は9日、保険会社に対し、被災地域での住宅用火災保険の解約や更新拒否を1年間に渡り禁止するとした。被災地域や、周辺地区の住民が対象となる。
気象情報サイトのアキュウェザーによると、保険対象外の被害や、賃金損失やサプライチェーン(供給網)の混乱などの間接的な経済的影響を含めた被害総額と経済的損失は、推定1350億-1500億ドル(約21兆3200億ー23兆6800億円)に上る。
高い借り入れコストや根強いインフレ、政治的な不透明感にもかかわらず、労働市場が昨年も持ちこたえたことを今回の統計は示した。2024年は労働需要が鈍化し、失業率は上昇したものの、雇用者数は通年で220万人増加した。伸びは23年の300万人を下回ったものの、19年の200万人を上回った。
米消費者の長期インフレ期待は2008年以来の水準に上昇した。トランプ次期大統領が掲げる関税導入への懸念が背景にある。ミシガン大が発表した1月の調査から分かった。
短期のインフレ期待も上昇。その結果、消費者信頼感は低下した。
クリントン元米大統領の政治顧問だったジェームズ・カービル(80)氏は「生まれ変わるなら債券市場になりたい。債券市場は人々を恐れさせるからだ」と語ったことがあった。
米国債市場は再び人々を恐れさせており、政治家も他の皆と同様に恐れるべきだ。
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